セラ様二次創作1-2

セラ様二次創作-作:◆69qW4CN98k ■6.29kb


#2


セラ=ハールマン、世田 春菜(11歳)は週末の逢瀬を欠かさない。
本来ならば毎日といきたいところではあるが、それでは学業に影響が出る。
友人に彼の事が明るみになるのも避けたい。
なにより、彼に正体がばれる事は絶対に回避しなければならない。
彼が本来の自分ではなく、仮初の自分が好きなのだとしても、それが愛する人の幸せならばそれでいい。
武士道とは死ぬ事と見つけたり。乙女道とは恋焦がれる事と見つけたり。
我、齢二百歳の吸血鬼となりロリババァとして―――生きる。

セラ=ハールマンはロリババァ也。

これはちいさな恋の物語―――



「セラ様、来週空いてますか」
「ふむ、いったい何だ」

いつものように彼の家に居たある日、セラは彼に尋ねられた。
寝転がる彼の背中に足を乗せて、ソファーでくつろぐ姿勢を崩さずにセラは耳を傾けた。
視線はTVから外さない。レンタルのDVDが気になるのだ。

「いや、来週食事でもご一緒にどうですかな、と」

食事、という言葉にセラは反応した。視線を彼の方へとうつす

「ほう、食事とな」
「ええ。あ、でもセラ様って昼間大丈夫でしたっけ」
「案ずるな。真祖は陽光を物ともしない」
「それは良かった! じゃあ来週二人で食事に行きましょう!」
「うむ、貴様如きの企みなぞ拒絶してもいいのだが……お前は運が良い。行ってやらん事も無い」
「おお! ああ! 有難う御座いますセラ様! では来週の昼に駅前で待ち合わせましょう」

うむ、とセラは頷いて足を彼の背中から離した。
そのまますたすたと部屋から出て行こうとする。

「セラ様?」
「今日はこれで去る。また会おう」

バタン、と扉を閉めてセラはその場を去った。彼の家から出て自分の家へと急ぐ。
ただいまの挨拶ももどかしく自分の部屋にあるPCの電源を入れてキーボードを叩く。

「彼とのデートの最中クチャクチャ音をたてて食べるとどうなるの? と……」

ディスプレイにはキーワードの検索結果が表示されていく。

『マジレスすると食べ方が汚い♀は醒める、ていうか台無し。お前のマナーでデートがヤバい』

週末まで残りたったの数日間しかない。
春菜は彼の前で失態を演じないように、様々な事を身に付ける事にした。
ロリババァがそんな事も知らないとしったら、彼はどんな表情を浮かべるだろうか。

(……よし!)

ロリババァは無敵なり。
幼女の可愛さと熟女の知識を兼ね備え、さらにその能力を上回る。
そして、その姿はギリシアの彫刻のように美しさを基本形とする。
そういう設定なのだ。
彼の信じる偶像を崩さない為に、世田 春菜は努力を欠かさない。


その日はいつもより早く起きた。
皺一つ無い衣服、整えられた髪、手入れされた肌。
身だしなみは万全だ。
ポシェットの中には万一に備えてコンドームが入っている。後ろに備えてローションもある。
連戦に備えて眠気覚ましとドリンクも用意した。
準備は万端だ。
完璧だ、完璧すぎる。今の春菜は何があっても対応できるだろう。
例えるなら今の自分のスタイルはタタラ・タタラ・レッガーといったところだろうか。

「すいませんセラ様、ずいぶんと早いんですね」
「うむ、年長者をまたすとはいい度胸だ」

春菜は彼よりずっと早く待ち合わせ場所についた。
それも予定よりずっと一時間もはやく。
待ってる間、来なかったらどうしようとか急な予定が入ったらどうしようとか、悪い考えがぐるぐると頭の中を駆け巡っていたが、彼の姿を見ると消えうせた。
内心の喜びを押し殺し、春菜は尋ねた。

「して、食事の店はどこだ」
「ええ、こちらです」

彼は春菜を案内しようと先導していく。
本来ならば手を繋ぎたいところなのだが、孤高というイメージが先行しているために春菜からは手を差し伸べる事が出来ない。
彼からアプローチをして欲しいところだが、箱入りロリババァのように自分を崇めているので、おそらく差し伸べてはこないだろう。
だが彼とこうやって休日の街を歩いている。彼の家から外、まずは一歩前進である。
たとえそれが仮初めの自分との距離だとしても。

「着きましたよセラ様」

案内された場所は店ではなかった。何かの施設、会場であろうか。
中で催し物が開催しているらしく次々と人が入っていく。頭上の看板にはこう書かれてあった。

『秋の味覚フェア  ○○○10周年感謝祭』

「感謝…祭?」
「ええ。今日はここでケーキバイキングやってるんですよ。二人組みじゃないと駄目なんですけどね」

なんだ、と春菜はため息をついた。そういえば詳細を聞いてはいなかった。
二人で休日の会食と思ってはいたが違ったらしい。

「あ、あれ? ひょっとしてお気に召しませんでした?」
「……いや、金の無い貴様の事だ。こんな事だろうとは思ってはいた」

はあ~と大袈裟にため息をつき、横目で彼を眺める。
だが食事には違いない。ムードは無いが仕方が無い。
春菜は表情を取り繕い、澄ました顔で答えた。

「だが、私に奉仕しようとする下僕の考えは尊重しよう。……我ながら甘いが見逃してやろう。
 許してやる、余興につきあってやろう……だが、わかってるだろうな?」
「ハイもちろん! 支払いはまかせてください!」

彼は満面の笑みを浮かべながら、バリバリと財布を取り出して係員に会費を支払った。

「さあ中に入りましょうセラ様! 早くしないと始まっちゃいますよ!」

そういってぐいと春菜の手を引っ張る。

(あ……)

嬉しくて、おそらく自分の行動に気がついていないのだろう。
彼が自ら手を繋いで、春菜をぐいぐいと引っ張っていく。
彼の嬉しさが、温もりが手を通じて伝わってくる。
春菜はうっすらと微笑み、彼の手を握り返した。

「そう騒ぐ事もあるまい、ガキか貴様は」
「ははっ、セラ様にくらべれば子供ですからね俺は」
「ふん、レディにむかって年齢の話をするなどとは、私刑だな」

彼と軽口をかわしながら催し物の開催場所へとむかう。
どうやら今日は、良い一日になりそうだ。
彼と春菜が中に入った後、一組の男女が姿を現した。
年の離れた兄妹、いや親子だろうか。
茫洋とした壮年男性と、快活そうな少女。
男はのほほんとした表情を浮かべてはいるが、それは顔だけで飄々とした風貌を漂わせていた。
少女は長い髪を二つに分けて結び、愛くるしい顔をくりくりとさせている。
これからおこる出来事に興味津々といった感じだ。
係員が男の姿を見かけると顔色を変え、すぐに上司へと連絡する。
やがてやってきた上司は男にむかって一礼した。

「これは柏木様、仰って頂けば迎えにあがりましたものを……」
「いや、今日の私は料理家でもなんでもないよ、用があるのはこの子さ」

どうやら大層な人物らしい。
畏まる上司に対してその男はひらひら手を振り、気にするなといった格好をする。

「今日ここで○○○社の催しがある事を思い出してね、連れと一緒に来たわけさ。
 なにしろ美味しいからね」
「は、はい、ありがとうございます!」

自社の品を誉められて上司は笑みを浮かべた。
この柏木という人物は、料理界でその舌と腕を振るう業界では知らぬ者がいない大物だ」
その人物からのお墨付きを得る、嬉しい事である。
押し付けられるように柏木から渡された会費を受け取りながら、上司は呟いた。

「では中へ……柏木様の舌に合うと良いのですが」
「いやいや、だから用があるのはこの子さ」

柏木はポンポンと少女の頭を撫でた。

「ね? クリーシェさん?」
「ええ」

クリーシェと呼ばれた少女は、ニッコリと微笑んだ。グゥ、と腹がなる。

「見せて貰いましょうか……○○○社のケーキの美味しさとやらを!」



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・

to be continued……?



  • 最終更新:2011-05-16 23:02:22

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